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そこに刺身が落ちていた

1 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁しです:2014/03/05(水) 19:52:58.47 ID:jeR0cruQs
誰かが棄てていったのであろうその刺身は、
何もない野原の中、ただ、そこにあるだけであった。
刺身は、それが、とても悲しくて仕方がなかった。

一匹の猫がやってきた。
刺身は言った。
「私は魚売りに棄てられ、ここにいる。
誰かに食されることを目的とする私には、
それが悲しく、とても辛い。
どうにか私を食べてはくれないか。」
それを聞いた猫は、こう言った。
「魚売りに棄てられたということは、
貴様はとても不味いのであろう。
私は貴様など食べたくはない。」
そう答えると、猫は去っていってしまった。

そこに取り残された刺身は、悲しみのあまり身が黒く染まり、
まるで憎しみを醸し出すその様のように、悪臭を放った。

一匹のハエがやってきた。
刺身は言った。
「私は魚売りに棄てられた身だ。
猫にさえ嫌われる私など食べてよいことはない。
ゆけ。」
それにハエは答えた。
「我は人に嫌われ今この野原にいる。
同じ嫌われ者の同士を、どうして我が嫌えようか。」
ハエはためらうことなく刺身を口にした。
刺身はハエに感謝した。
刺身の胸を覆っていたその憎しみは、
まるで滑り落ちるかのようにハエの口へと、飲み込まれていった。

2 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁しです:2014/03/05(水) 20:03:57.56 ID:jeR0cruQs
それから数年後、、、

俺はもう駄目だ。今までバイトで食いつないできたが、
ミスというミスが重なり今日、とうとうバイトをクビになった。
所持金は尽きかけ、今月の家賃は払えない。
彼女なんてもちろんいない。
俺は童貞のまま、死んでいくのか…

いや…どうせ死ぬなら…!

………そして俺は日が暮れるまで車を走らせ、
通りすがりの少女の拉致に成功。
今から家でお楽しみの時間…


…のはずだった。

「オラァッ!」パアンッ

ドスッ

「ぐはぁっ…な、なんて怪力女を捕まえてしまったんだ…」

少女「うかつに縄を解くなんてバカな奴…
さぁ、早く家に帰して!」

バカ「……………」

恐くて気が強い、怪力女…
俺が拉致したのがこの少女だったことを、
今、とても後悔している。

3 :以下、アマジグに変わりまして転さいきんしです:2014/03/05(水) 20:09:43.36 ID:jeR0cruQs
少女「冗談言ってんじゃないわよ!」ゲシッ

メコッ

バカ「うっ…本当なんです…
   車、壊れたんです…ごめんなさい…」

少女「直せばいいじゃない」

バカ「今お金無いんです…
   車に詳しい友達がいるから、今週には…」

少女「なんて使えない男…」

少女「仕方ないわね、今日はここで寝るしかないか…
   変なことしたら、タダじゃおかないから」

バカ「……」

4 :以下、アマジグに変わりましててんさいきんしです:2014/03/05(水) 20:17:06.79 ID:jeR0cruQs
〜翌日

バカ「少女様、パンを買ってまいりました」

少女「遅い!罰としてケツバット30回ね!
   ねぇねぇところで、これなぁに?」

バカ「ああ、コレはテレビゲームというものです
   …遊んでみる?」




ガチャガチャ

少女「あぁん、うっとおしい!
   この、なんか…ハンマー投げてくる亀、強すぎ!」

バカ「ああっ俺もやられちゃった…」

少女「この役立たず!」

バカ「少女ちゃんだってやられてたじゃん…」

少女「そ、そんなことどうでもいいわ!
   もう一回よ、もう一回!!」

5 :以下、アマジグに変わりまして転載きんしです:2014/03/05(水) 20:25:44.08 ID:jeR0cruQs
〜翌日

ガチャガチャ
少女「やっとここまで進んだ…
   休憩しましょ、休憩!」

バカ「ずっと思ってたけど…警察、行かないの?」

少女「……家に帰りたくない」

少女「私ね、実はヤクザの娘なの。
   なんか、そういう、肩書き?ていうの嫌じゃない…
   それに嫌気がさして家出していたとき、あなたに捕まったのよ。
   寝る場所が見つかって、ちょうど良かったんだけどね」

バカ「ヤクザの娘…だからそんなに強いのか」

少女「うるさいわね!言わないでよ!」ガッ


バカ「ふ、ふぐうぅ…」

6 :以下、アマジグに変わりまして転載きん止です:2014/03/05(水) 20:45:00.23 ID:jeR0cruQs
〜そのまた翌日

ガチャガチャ

バカ「…明日には友達がきて、車直せるから
   …本当に家には帰りたくないの?」

少女「………」

バカ「他に行く場所、ないんでしょ?
   おとうさんやおかあさんだって、心配だろうし…
   それに、少女ちゃん最初に言ってたじゃないか、
   『早く家に帰して!』って…
   少女ちゃん、本当は帰りたいんじゃないのかな」

少女「………」

バカ「車が直ったら、家まで送るよ」

7 :以下、アマジグに変わりましててんさいきん止です:2014/03/05(水) 21:06:11.29 ID:jeR0cruQs
〜次の日

友人「あぁー、やっぱベルトが切れてるな」

バカ「何か部品買ってきた方がいい?」

友人「いや、どうせこんなことだろうと思って替えを持ってきたよ
   バカ野郎のことだから、どうせお金無いんだろ」

バカ「あはは…ゴメンね、気を使わせて…
   じゃあ俺はその間に、少女様から頼まれたおつかい行ってくるよ」

友人「おう」(少女様…?)




  「おい!そこの男…
   このあたりで少女を見なかったか?」

友人「うわっビックリした…
   少女なんて見てないっスけど…」

少女「あのバカ遅いなぁ…どこほっつき歩いているのよ」ガチャッ

少女「…!?
   あなたは…うちの敵対ヤクザの…!」

敵対「!
   やはりここにいたか…!!」

友人「え?え?何事?」

8 :以下、アマジグに変わりまして転載禁しです:2014/03/05(水) 21:16:26.00 ID:jeR0cruQs
〜数分後

バカ「ただいまー」

友人「遅いぞバカ野郎!
   お前が居ない間に大変なことになってたんだぞ!!」

バカ「え?」



バカ「な、何だって!?少女ちゃんが!?」

友人「俺も助けようとしたけど、アイツ、
   刃物なんか持ってやがって…!」

バカ「…車、動くよね」

友人「とっくに直したが…
   まさかバカ、無茶なことする気じゃないだろうな!?」

9 :以下、アマジグに変わりまして転載きん止です:2014/03/05(水) 21:22:45.70 ID:lbLguGTks
謎の定期SS

10 :以下、アマジグに変わりまして転載禁しです:2014/03/05(水) 21:34:22.09 ID:jeR0cruQs
〜廃屋

少女「解きなさいよ、この縄!!」

敵対「いくら女とはいえ、わざわざ捕まえた奴の
   縄をとく馬鹿がいる訳ないだろ…クク」

少女「くっ…」

敵対「おまえの父親さんには散々迷惑喰らったからな…
   そのお返しに、お前で遊んでやるよ!!」

少女「嫌…誰か…誰か助けて!!」

  「やめろーーー!!!」

ポカッ

敵対「痒っ…なんだてめぇは!?」

少女「あなたは…おバカさん!?」

バカ「少女を拉致して暴行しようとするなんて…
   なんて外道だ!俺が成敗する!!」

少女(人のこと言えねぇ!)

敵対「なんか知らねえがムカつく奴だな…
   そんなに死にたいなら、ぶっ殺してやるよ!!」

バカ「こいやぁぁ!!うおおおおおお!!」

11 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁しです:2014/03/05(水) 21:44:21.67 ID:jeR0cruQs
ドカッ

バカ「ぐあ、やられた!」

少女「弱っ!」

敵対「ククク…頼みの綱もこれで消えたな」 

少女「くぅっ…ん?」

ファンファンファン

   「警察だ!手を上げろ!」

敵対「なっ…警察!?
   くそっトンズラするしかねぇか…!!」タタッ

バカ「た、助かった…」


友人「なにしてんだバカ野郎、大丈夫か!?」

バカ「警察呼んでくれたんだね…     ありがとう心の友よ…」

12 :以下、アマジグに変わりまして転載禁止です:2014/03/05(水) 22:10:42.72 ID:jeR0cruQs
〜そして

少女「私が家に帰らなかったのも、
   全部あの男のせいにしておいたから
   …それにしてもあなた、
   あんなバカで無謀な事するなんて…」

バカ「ごめんなさい」

少女「ううん、いいの!
   それにちょっと見直しちゃった!
   バカだったけど…でも、とてもかっこよかったよ!」

バカ「ありがとう
   …それにしても、いい両親じゃないか。
   少女ちゃんと会えたとき、号泣してたし…
   別に職業がヤクザだからって、いいか悪いかは人それぞれだよ
   少女ちゃんは、あのお父さんを誇りに思っていいと思うよ」

少女「うん…
   あっ…そういえばこれ、お父さんがお礼にって」

バカ「封筒…?
   うわっなんだこの金額は!?」

少女「それとおバカさんがお金に困ってるって言ったら、
   牛耳ってる会社でお金がたくさん貰える仕事があるって!
   良かったね、おバカさん!」

バカ「な、なんか怖いなそれ…」

少女「それと…」

バカ「?」

少女「また…おバカさんの家に、遊びに行っていい?
   あのゲーム、また一緒に遊びたいな!」








ーーー恐くて気が強い、怪力女…
俺が拉致したのがこの少女だったことを、
今、とても良かったと思っている…




おしまい

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