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むか〜しむかしあるところに

1 :以下、アマジグに変わりましててん載きんしです:2014/03/04(火) 15:18:43.26 ID:cSLx6ZHCs
独りの老人がいた。
畳の上に横たわったその目はすでに光を失い、
ただ死を待つその姿に生気はなかった。
窓から漏れる鈴虫の声が、静かに老人へと語りかける。
「お前はそれで善かったのか。
酒も飲まず、女とも遊ばず、いまや死は目前だ。
悔やむ事は多いだろう。
お前はそれで善かったのか。」
老人はそれに応えようとしたが、冷え切ったその身体は動かなかった。
静かに響く鈴虫の声が、まるで波が引くそのときのように遠ざかっていく。
何も聞こえなくなった。
沈黙が続いた。
老人は、最期まで鈴虫に応える事ができなかった。

それが老人の、最期にして唯一の後悔だった。

2 :以下、アマジグに変わりまして転載きんしです:2014/03/04(火) 16:13:25.51 ID:cSLx6ZHCs
それから数年後、老人の住んでいた家は取り壊され、小さな公園となっていた。
そして、そこで俺は少女の尻を追いかけていた…

「ほれぇお嬢ちゃん、大人しくこっちにおいでよぉ
うへへへぇ飴ちゃんもあるよぉぉ」
「ふぇぇ、変態だよぉ!誰か助けて!」
「大丈夫!何もしないよ!
大丈夫大丈夫ぐへへへへへ」
「嫌!笑い方気持ち悪い…
何かする気満々じゃないの!」
「まってょおうへへ」
「キャー変態!こっち来るな!」

3 :以下、アマジグに変わりまして転さいきんしです:2014/03/04(火) 16:24:46.97 ID:cSLx6ZHCs
〜翌日、少女は昨日の公園のベンチに1人座っていた。

「あ、昨日の変態…また来たんだ」
「あ、いや、その、お嬢ちゃんに、昨日の事謝ろうと思って…
昨日は酔っ払ってたんだ、追いかけまわしてごめん。」
「そういうことなら…別にいいけど」
「…これ、昨日のお詫びの飴ちゃん」
「あ、ありがと…」スッ
ガシッ
「と言うとでも思ったかぁ!
今日こそ捕まえたぜぐふふふふ!」
「きゃぁぁぁやっぱ変態だった!!」ドカッ

「こ、股間蹴るなよ…」
「次変なことしたら警察呼ぶから」
「はい…」

4 :以下、アマジグに変わりましててんさいきん止です:2014/03/04(火) 16:34:12.11 ID:cSLx6ZHCs
〜そのまた翌日

「あ、変態だ」
「やぁお嬢ちゃん、また来たよ!」
「それ以上近寄らないで」
「…はい」

「…お嬢ちゃんは、何でいつもここにいるの?」
「そんなの別にいいでしょ、そういう変態さんこそ何でここにいるの?
今日は平日よ?仕事は?」

「………」
(無職なのね…)

5 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁止です:2014/03/04(火) 17:12:05.09 ID:cSLx6ZHCs
〜次の日

「お嬢ちゃ〜ん!」ガバッ
「近抱き付いてくるな気持ち悪い!!」グシャッ
「うっまた股間を…ふぐぅぅぅ」(泣)

「こんなことしてる暇があったら、
ハローワーク?てとこに行けばいいじゃない」
「…働きたくない」
「変態さん……あなた馬鹿でしょ」
「今まではそれで良かったんだ…
俺はアフィブロガーで…遊んでるだけでも…
たくさん…たくさんお金が入ってきて…
……あそこが転載禁止にならなければ…」
「………?」
「…働きたくない、働きたくない……」ブツブツ
「変態さん!みんな大人の人はちゃんと働いているんだよ?
自分だけ楽しようなんて、それで生きていけるワケないよ!」
「…働きたくない、働きたくない……」ブツブツ
「…………」

6 :以下、アマジグに変わりまして転載禁しです:2014/03/04(火) 17:30:23.01 ID:cSLx6ZHCs
〜また次の日

「やぁお嬢ちゃん!あれ?何持ってるの?」
「はい、コレあげる」

「これは…求人誌?うっ、頭が…
……は、働きたくない……!!」
「まーた変なスイッチ入った…タァ!」ポカッ

「痛っ!ハッ、俺は一体…」
「変態さん!現実から逃げちゃ駄目だよ!
頑張って働こう!私も応援するから!」
「お嬢ちゃん…」
「私これでも頭いいのよ、エッヘン!
変態さんのために、色々調べたんだから!
取り敢えずこの仕事なんてどう?」

「…どれどれ、
これは…俺の学歴じゃ無理だよ…」
「…?学歴ってなぁに?」
「…………」

7 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁止です:2014/03/04(火) 17:52:44.87 ID:F2zmly/q0
唐突SSスレ再び

8 :以下、アマジグに変わりましててんさいきん止です:2014/03/04(火) 18:30:22.61 ID:cSLx6ZHCs
〜さらに次の日

「あ、変態さん」
「お嬢ちゃん!昨日はありがとう、
俺、料理人目指してみるよ!」
「ええ〜、変態さんが料理人?」
「ええ〜って…
俺料理好きだし、これからいいかなと思ったんだ」
「うん、変態さんならきっと大丈夫だよ」

「………」
「どうしたの?」
「いや、ベンチに隣り合って座って…
こんな近くでも大丈夫なんだね」
「そういえば…って
べっ…別に気を許したワケじゃないんだからね!
変なことしたら、警察呼ぶから!」
「はいはい、分かった分かった」

9 :以下、アマジグに変わりまして転載きん止です:2014/03/04(火) 18:54:29.61 ID:cSLx6ZHCs
〜数日後

「お嬢ちゃん!俺料亭で働くことになったんだ
これもお嬢ちゃんのおかげだよ、ありがとう!」
「変態さん、おめでとう!」

「…お嬢ちゃん今日元気ないね、どうしたの?」
「…あれ?やっぱり変態さんには分かっちゃうんだ、えへへ
………あのね、私、明後日にはお引っ越しするの」
「え!?どうして?」
「…実は学校でいじめられてて、
それで………」
「だからずっとここにいたのか…」
「…そんなことでお引っ越しなんて、おかしいよね、
現実から逃げてるの、本当は私だよね…」

「…………違うよ」
「…え?」
「だって転校するんでしょ?
まだ何も分からない所に向かうのって、
それは立派な勇気だよ!
俺はその勇気を!お嬢ちゃんから貰ったんだよ!次は俺が与える番さ!」
「変態さん…
えへへ、ありがと、何か元気出たよ!
あっ、もうこんな時間…また明日ね!」
「うん、また明日な!」

10 :以下、アマジグに変わりましててん載きんしです:2014/03/04(火) 19:22:09.62 ID:D7WcjRyKs
〜次の日

「明日の朝、出発するの
変態さんと会えるのもこれで最後だね」
「うん、そうだね」
「私…私ね、変態さんのこと、ちょっと好きになっちゃったかも
最初はただの変態かなって思ったけど、
今はいい人だなって思うし、お話ししてるうちに、
私も元気になったっていうか…」
「…………」

「でも…でもね、私、次の学校に行くのが怖いの
またいじめられるかもって思うと怖くって…」
「……お嬢ちゃん、これあげる」
「これって…あの時の飴ちゃん?」
「お嬢ちゃんが次の学校でうまくいくように、
おまじないをかけておいたんだ
………………受け取って欲しい」
「変態さん、ありがとう…」スッ
ガシッ

「へ、変態さん…?」
「お嬢ちゃん…もう少しだけでいいから、
……このまま手を握ってて、いいかな?」
「…うん」

11 :以下、アマジグに変わりましててんさいきん止です:2014/03/04(火) 19:31:26.70 ID:+yx6KgOts
不審な男が女児の手を引いて連れ去ろうとする事案が発生

12 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁止です:2014/03/04(火) 19:56:49.89 ID:D7WcjRyKs
〜そして

「おい!変態野郎、皿洗いおせぇぞ!」
「は、はい!今すぐ終わらせます!」

料亭で働き始めた俺の生活は今までより遥かに忙しかったが、
それと同時に、今までで一番充実した日々だった。

今でも仕事帰りにあの公園を見る。
そこにあの少女は居なかったけれど、
俺にはハッキリと見えた。
あのベンチに座った少女と、隣に座る俺。

もしもまたあの少女と出会えたら、
何て声をかけようかなと考えながら、
バッグから飴を取り出して一口かじった。
とても甘かったけれど、どこか寂しい味がして…

空を見上げると、星たちが輝いている。
明るい星、暗い星、そのどれもが、あの少女のように見えた。
それを見つめると、なんだか元気が出てきて、
なんでもできるような気がした。



ーーーend

13 :以下、アマジグに変わりまして転さいきんしです:2014/03/04(火) 20:42:37.81 ID:qGaLMhD10
感動した

14 :以下、アマジグに変わりまして転載禁止です:2014/03/04(火) 20:52:05.04 ID:3+1FwFlVs
アフィカスが少女との触れ合いによって更正する感動のストーリーやね

15 :以下、アマジグに変わりましててん載きんしです:2014/03/04(火) 20:52:43.39 ID:+yx6KgOts
イイハナシダナー
就職先でも変態呼ばわりで笑った

16 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁止です:2014/03/04(火) 21:09:18.22 ID:1orRT8fls
冒頭の爺さんが謎

17 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁止です:2014/03/04(火) 22:00:48.42 ID:GKpI/+wJ0
これはわろた

18 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁止です:2014/03/04(火) 22:47:07.17 ID:3+1FwFlVs
>>16
じいさんの家があった公園で主人公は少女と出会ったんだろ
そこに残ったじいさんの死ぬ間際の小さな無念が二人を引き合わせたとでも解釈すればいいんじゃないかな

19 :以下、アマジグに変わりましててん載きんしです:2014/03/04(火) 22:50:52.20 ID:2EsteXPIs
いいね

20 :以下、アマジグに変わりまして転さいきんしです:2014/03/05(水) 07:39:04.20 ID:vst5lyvZ0
おつ

21 :以下、アマジグに変わりましててんさいきん止です:2014/03/05(水) 17:17:45.78 ID:Ic9nOtD9s
謎鈴虫

22 :以下、アマジグに変わりましててんさい禁止です:2014/03/05(水) 17:37:58.47 ID:lbLguGTks
>>21
鈴虫はじいさんの家が潰されて公園に変わったときに死滅した

23 :以下、アマジグに変わりましててんさいきんしです:2014/03/05(水) 19:26:02.61 ID:Ic9nOtD9s
>>22
かなしい

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